中学受験をする親子を描いた『翼の翼』を読みました。
今回は、読んだ感想を中心にして、中学受験の持つ独特の難しさなど、思うところを記事にしました。
著者の朝比奈あすか氏のインタビュー記事(2022年3月さぴあ誌面上にて)
朝比奈あすかさんは、開成中学の入試に出題された『君たちは今が世界』を書かれた作家さんです。
朝比奈さんも、お子さんが中学受験をされたそうで、中学受験に親として関わることで、様々な感情を経験されたと仰っています。
サピックスが毎月発行する情報誌さぴあにて、広野先生との対談が掲載されています。(2022年3月刊行分)
インタビューでは、朝比奈さんが『翼の翼』に込めた思いの他にも、子供を読書好きにするにはどういった働きかけを大人がすると良いのかといった、私たち保護者にとって参考になるお話もあります。
『翼の翼』あらすじ
ネタバレも含んでいます。
主人公の母親は、中学受験を経験していない専業主婦ですが、後々子供の塾代の為にアルバイトをするなど何事にも一生懸命に取り組むタイプの女性。
夫は中学受験を経験していますが、義理の両親や夫自身に言わせると中学受験に失敗したが、それを糧に大学受験やその後の就職を成功させたとのこと。
主人公の母親が、たまたま小2の息子に受けさせた塾主催の無料テスト。
そこから家族を巻き込んでの中学受験が始まります。
我が家が、低学年で受けた全国統一テストやサピックスのテストとその活用法は、過去に記事にしています。
【中学受験】最初に思っているほど簡単に撤退・転塾できない
主人公の母親のセリフ、全く同じ事を言ったことがある、、と思ったくらいリアルに描かれていました。
たまたま中学受験塾のCMを見て、力試しに受けてみた入塾を兼ねた無料テスト。
最初は中学受験なんて向いてなければ途中でやめればいいんだし、と軽い気持ちで始めたはずなのに、家族はどんどん中学受験の沼にはまっていってしまいます。
実際に中学受験を始める際も、合わなければ転塾すればいいし、なんて軽く考えていても実際は中学受験の撤退も転塾も難しいです。
口に出すかどうかは別として、主人公と同じ感情に身に覚えがあり、目を背けたくなるくらいリアルでした。
ストーリーにぐいぐいと引き込まれて、一気に読み終わりました。
【中学受験】実は成績上位層も苦しい
主人公の翼は、中学受験塾エイチ(たぶんサピックスがモデルになっている)の四天王1クラス(最上位クラス)に在籍しています。
主人公の男の子の志望校は、最難関中学。
低学年の時は、親の喜ぶ顔が見たいという気持ちから、そして高学年では、束の間親からの厳しい叱責を避ける為にカンニングに走ってしまいます。
子供なのでカンニングをしても、すぐに親にばれてしまうので、更に教育虐待に拍車をかけることになってしまいます。
実際に勉強ができて塾の上位クラスにいても、志望校は持ち偏差値より上のことはよくあることで、どこが志望校であっても、ほとんどのお子さんは同じくらいの実力(偏差値帯の中)での勝負になってきます。
例えば男子の最難関である筑駒は、サピックスの最上位層にいても募集定員の少なさなどにより、絶対合格圏内とはいえない熾烈な戦いとなるようです。
偏差値が高い低いは関係なく、苦しいのはどの子供も同じではないでしょうか。
これから中学受験を考えている人にもおすすめ
中学受験の心理描写が本当にリアルなので、中学受験をしようかなと考えているご家族の方も一読の価値ありです。
親の心理として、こういう風に気持ちが変化していく可能性もあるという心構えがあるだけでも違うかもしれません。
同じく朝比奈さんの著書で『ななみの海』を読んだ感想の記事はこちらから
こちらは、以前サピックスの模試で出題されていました。